【四毒とは何か?】「抜くべき」ではなく「選ぶべき」時代へーー本質を見失わない食との向き合い方

日常

近年、健康志向の高まりと共に「四毒(しどく)抜き」という言葉をよく耳にするようになりました。

これは「小麦・植物油・乳製品・甘いもの」を日々の食事から抜くことで、さまざまな不調や病気を改善できるとする食事法です。

確かに現代人にとって、これらの食品が過剰摂取されやすい環境にあることは事実です。

ですが、その本質を見誤ると、かえって「本当に大切なこと」を見失ってしまうのではないか?ーーーそんな違和感を覚えた人もいるかもしれません。

そこで今回は、「四毒」と呼ばれる4つの食材について、それぞれの背景やリスク、そして”排除ではなく選択“の視点で整理してみます。

小麦:悪いのは「品種改良」と「農薬」?

小麦のグルテンが腸に悪影響を及ぼすという話は広く知られるようになりました。特に、難消化性のタンパク質「グリアジン」は、腸壁に炎症を起こす可能性があるとされます。

ただし、1万5千年以上も前から人類は小麦を主食としてきました。

日本でも弥生時代から小麦の痕跡が見つかっており、長い間私たちの食文化に寄り添ってきたのです。

にもかかわらず、なぜ近年になって「小麦が合わない人」が急増しているのか?

その答えの一つが、「品種改良」によるグルテン(特にグリアジン)の増加と、「除草剤」や「遺伝子組換え作物」による農薬の影響だと考えられています。

実は、小麦そのものが変わってしまったのです。

品種改良により、グルテン中のグリアジンという成分が40倍にも増加。

また、除草剤や遺伝子組換え技術による残留物が腸を傷つけているとも言われています。

実際、無農薬で栽培された古代小麦でパンを焼いた際には、不調を訴える人はほとんどいなかったとか。

→ つまり、「小麦が悪い」のではなく、「現代の加工・栽培方法が悪い」ということです。

選ぶべきポイント

・古代小麦(スペルト小麦、エンマー小麦等)は現代小麦よりグルテン量が少なく、無農薬栽培との相性も◎
・「小麦=悪」ではなく、「どう作られたか」が鍵
・片栗粉の方が小麦より安全

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植物油:リノール酸と加熱劣化の罠

サラダ油や大豆油などの植物油に含まれる「リノール酸(オメガ6系脂肪酸)」は、体内で炎症を引き起こすとされます。

また、これらの油は高温調理で酸化しやすく、トランス脂肪酸が発生する可能性もあります。

しかしリノール酸は人の体内で合成できない「必須脂肪酸」です。つまり、本来は必要なもの。

問題は「過剰に摂りすぎる食生活」や「加熱の仕方」にあります。

▶ 推奨される油の特徴と用途

油の種類特徴加熱向き?注意点
オリーブオイルオレイン酸豊富。抗酸化作用。弱火~中火の炒め物に◎高温には弱め
アマニ油(亜麻仁油)オメガ3豊富。抗炎症作用。✕ 加熱不可サラダやスムージーに
ごま油香ばしく酸化にやや強い中火の炒め物に◎焙煎タイプは風味重視
米油オレイン酸とビタミンEが豊富。高温調理(揚げ物)に◎味がまろやかでクセが少ない

【背景にある理論】

・一般的な「サラダ油(キャノーラ油・大豆油・コーン油等)」は、オメガ6脂肪酸(リノール酸)を多く含みます。
・オメガ6は必要な脂肪酸ですが、摂りすぎると慢性炎症を引き起こし、それが脳へのダメージ(=認知機能の低下)に関与する可能性が指摘されています。

選ぶべきポイント

・揚げ物には酸化に強い【米油】
・生食や低温調理には【亜麻仁油】【えごま油】【オリーブオイル】
・油を控える日本の伝統食に立ち返るのも一つのヒント

乳製品:本当に悪いのは「カゼイン」か「ホルモン」か?

牛乳に含まれるタンパク質「カゼイン」は、人の消化器系に負担をかける可能性があるとされ、アレルギーや腸内環境の乱れとの関連も指摘されています。

ただ、問題は牛乳そのものというよりも現代の酪農の在り方にあります。

成長ホルモン、抗生物質、遺伝子組換え飼料等の影響が無視できないのです。

選ぶべきポイント

・【バター】【ギー】はカゼインや乳糖が少なく、むしろ安心
・牧草飼育・ホルモン剤不使用の乳製品を選ぶ
・発酵食品(チーズ・ヨーグルト)は消化の負担が軽減される場合も

「1956年までフランスの学校でワインが出されていた」・・・これは事実?

はい、ある程度事実です

▶ フランスでは長らく、ワインは「水の代わり」に扱われていた

・特に19世紀~20世紀初頭、農村地域では水よりワインの方が衛生的とされていました。
・ワインやシードルを学校の昼食で提供する慣習がありました(とくに中高生)。
・しかし、1956年には未成年の飲酒制限を強化する法律(Decree No. 56-388)が施行され、これ以降は牛乳やジュースに置き換えられていきました。

「牛乳は骨を弱くする」は本当?

戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、飢餓状態の日本の栄養状態を改善する為、給食制度を支援しました。パン・脱脂粉乳が導入されたのは、米国の余剰小麦・乳製品を有効活用する経済政策の一環でした。

「栄養改善と食料支援」が主目的と言われていますが、実際は「日本人の弱体化」に繋がることでした。

EUや日本を含む25か国以上では、安全性や倫理面からrBGHの使用は認可されていません

直接的に人間の健康に有害だという科学的証拠は限定的ですが、ホルモンバランスや間接的影響の可能性があるとされ、禁止されています。

何故ならアメリカの牛にはrBGHと呼ばれるホルモンが与えられているからです。

▶ rBGHとは?

  • rBGH(recombinant Bovine Growth Hormone)=遺伝子組換えウシ成長ホルモン
  • アメリカでは乳牛に乳量を増やす為に使用されていました。
  • これにより、牛の病気(乳房炎など)や抗生物質の使用増加の懸念が生じました。

牛乳を選ぶなら、rBGH不使用・オーガニック・低温殺菌のものが良いと言われていますが・・・、


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→ つまり、ここでも「除外」ではなく「選択」の重要性が浮き彫りになります。

甘いもの:白砂糖の害と「質」の問題

白砂糖は精製度が非常に高く、ミネラルがほぼ除去された状態です。急激に血糖値を上げ、体を冷やし、依存性もあるとされます。

甘いもの全てが「毒」というわけではありません。

問題は「精製度」と「摂り方」です。ここで塩も紹介をしましょう。

【推奨される代替品】

調味料特徴
ぬちまーす沖縄の海水塩で、ミネラル豊富。溶けやすく味にコクがある。
てんさい糖北海道産の甜菜由来。体を冷やしにくいとされる。
きび砂糖精製度が低く、ミネラルを含む。まろやかな甘さ。
三温糖一度精製した糖液を再加熱して作るため、コクがあるが、ミネラルは意外と少ない。

【注意点】
精製塩(主に塩化ナトリウム)はミネラルがほぼ除去された状態で、摂りすぎると高血圧や腎疾患のリスクがあるとされています。白砂糖も血糖値を急激に上げる為、過剰摂取により糖尿病・肥満・動脈硬化の一因となる可能性があります。

選ぶべきポイント

・【てんさい糖】【きび砂糖】【黒糖】【ハチミツ】等、自然由来の甘味料を使用
・加工菓子よりも、手作りの甘味を楽しむ

本当の問題は「食材」ではなく「生産の在り方」

四毒を「抜く」ことだけに目を向けると、本質を見失ってしまうかもしれません。

現代の多くの食品問題は、「何を食べるか」以前に、「どう育てられ、どう加工されたか」が重要です。つまり問題の根本は食材そのものではなく、

人間の利便性を追求しすぎた結果、生まれた生産方法」にあるのです。

私たち消費者に出来ることは、本当の意味で身体に必要な食材を見極め、「買わない」ではなく「選んで買う」ことです。

商品を通じて「これはOK」「これはNO」と声をあげる。

それが、生産者の意識を変え、社会全体の方向性を変える第一歩になるのです。

結論:排除ではなく、「選択」の時代へ

食を見直すことは、健康を見直すこと。そして、自分の身体や命とどう向き合うかという問いでもあります。

すべてを「抜く」のではなく、「選ぶ」ことが大切。

・なるべく無農薬・無添加を選ぶ
・作り手の顔が見える食材を選ぶ
・古来の知恵や伝統食から学ぶ
・表面的な知識によっての「除外」より「選択」
・「極端な理論」より「バランスと実践」
・「日々の積み重ね」

「除外する食材」にばかり目を向けてしまうと、

本来見なければならない本質・・・育て方、作り方、選び方が見えなくなってしまう。

「四毒抜き」が独り歩きしてしまう前に、

今一度、食と身体の関係を根本から見直すことが大切だと感じます。

こうした日々の「選択」が、未来の自分と社会を変えていく力になります。


情報の”質”を見極め、自分自身の身体で確かめていきましょう。

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