タイトル画像はあれよ、人ではなくあくまで龍が主役です。女性は瀬織津姫をイメージしたのかな?
高龗神と闇龗神――龍神としての水の神、その神秘に迫る
日本神話において、水を司る神「龗神(おかみのかみ)」には、高龗神(たかおかみのかみ)と闇龗神(くらおかみのかみ)という、よく似た名前を持つ二柱が存在します。
その名の響きから、どこか恐ろしさや神秘を感じる方もいるかもしれませんが、実はこの二神、日本人の生活に密接に関わる「水の循環」を象徴する神々なのです。
この記事では高龗神と闇龗神の名前の由来、神話での登場、信仰の形、そして両者の関係性について、分かりやすくご紹介していきます。
高龗神は知っていたけど、闇龗神って誰やねん?って思ったので書きました。
まず高龗神は貴船神社の龍神トップでございます。
「龗(おかみ)」とは――龍神にして水神の象徴
「龗(おかみ)」という字は、ふだん見慣れないものですが、「雨」「龍」「口」という部首から成り、水や雨をもたらす霊的存在=龍神を意味します。
古代の日本人にとって、水は命をつなぐ大切な存在。雨を降らせ、川や田畑に水を導く神=おかみ神は、豊穣と浄化の神として深く信仰されてきました。
■高龗神と闇龗神の意味と違い
神名 | 読み | 意味 |
---|---|---|
高龗神 | たかおかみのかみ | 「高」は高天原(天界)を示し、天から降る雨を司る神 |
闇龗神 | くらおかみのかみ | 「闇」は山奥や谷底など、地中・湿地の神秘を象徴する |
この二柱の神は、「天」と「地」、「昼」と「夜」、「顕(あらわれ)」と「幽(かくれ)」という対照的な位置づけをされることがあり、自然界の水の循環を神格化したペア神とも言えます。
■神話の中の二神
●『古事記』の禊祓(みそぎばらい)に登場
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻り、穢れを祓うために海で禊をした場面で、多くの神が生まれます。この中に高龗神・闇龗神が現れるという解釈もあり、水にまつわる浄化の神としての性格が見て取れます。
●『先代旧事本紀』では・・・
高龗神は「天津神」、闇龗神は「国津神」として記載され、天の神(空の水)と地の神(地下水)という役割分担がされています。
■神社での信仰――貴船神社と丹生川上神社
神社名 | 所在地 | 主な神名 | 特徴 |
---|---|---|---|
貴船神社 | 京都市左京区 | 高龗神 | 雨乞い・止雨の神。古くから農民の信仰を集める。 |
丹生川上神社 | 奈良県吉野郡 | 高龗神・闇龗神(説あり) | 「水源の神」として3社構成。上社に高龗神、中社・下社に闇龗神を祀る説も。 |
貴船神社では、高龗神を清らかな水と恵みをもたらす神として篤く祀っています。
一方、丹生川上神社は紀伊山地の水源地に位置し、山中の霊的な水を祀る場であったことから、闇龗神との関係が深いとも言われています。
「闇」は怖くない? 誤解されがちな神の名
「闇龗神」と聞くと、どこか不吉な印象を持つかもしれません。しかし、神名の「闇」は、決して「悪」や「災い」を意味するものではありません。
古代日本語では「闇」は、山奥、谷底、洞窟、水源地といった、静かで湿潤な神聖空間を指していたと考えられています。
つまり闇龗神とは、見えないところから命の水をもたらす神秘的な存在なのです。
両神は同一神か? それとも別の神?
学術的には以下の2つの説があります。
・同一神説:高龗神と闇龗神は、表記や祀られる場所によって呼び名が違うだけの同一存在。
・別神説:天と地、昼と夜という自然の対比を象徴する双神。機能的には別。
いずれにしても、両者は「敵対関係」ではなく、補い合う関係であると見るのが一般的です。
『古事記』は伊邪那美命(イザナミ)が火の神・火之迦具土神(カグツチ)を生んだ時女陰に火傷をして死んでしまったことに怒った伊邪那岐神(イザナギ)が十拳剣でカグツチの首を切り、そのとき剣から滴った血が指から流れ落ちて生まれたのが闇淤加美神(クラオカミ)で、次に闇御津羽神(クラミツハ)が生まれたとしている。
『日本書紀』第五段一書(第六)は、十握劒で軻遇突智(カグツチ)を三段にして、それぞれが神になったとし、剣の柄から滴った血から闇龗(クラオカミ)、次に闇山祇(クラヤマズミ)、次に闇罔象(クラミツハ)が生まれたとする。一書(第七)では、火之迦具土神を三段に斬って、一段が雷神(イカヅチ)、一段が大山祇神(オオヤマヅミ)、一段が高龗(タカオカミ)となったと書いている。
『先代旧事本紀』の方が分かりやすくて、三段にされた火之迦具土神本体から高龗が生まれ、火之迦具土神の血から闇龗が生まれている。
高龗と血から生まれている闇龗は別と考えるのが自然ですね。
現代に生きる水神信仰
高龗神・闇龗神は、古代の水神信仰の根源にある存在であり、現代でも水の恵みや清浄の象徴として大切にされています。
雨が降らず、ダムの貯水率が下がると、今でも「雨乞い神事」が行われます。私たちが自然とどう向き合ってきたのか、これらの神々を通して見つめ直すことができるのではないでしょうか。
さて、高龗神とは──龍神の長であり、水と魂の守護神
高龗神は、日本神話に登場する神であり、龍神の長とも言える存在。水、雨、川、そして”魂の浄化“を司る非常に神秘的な神様です。
日本の龍神の中でも、「おかみ」と名のつく神は、いわば龍そのものと捉えられています。
・高龗神(たかおかみのかみ) … 水源・山上に宿る龍神
・闇龗神(くらおかみのかみ) … 水の底・陰の側面を司る龍神
この2柱の神は、表裏一体。
陰陽のように、高龗神が陽の龍神(天・雨・導き)であり、闇龗神は陰の龍神(地下・深層・浄化)と見ることもできます。
「龍神の色は7色」とされる中で、高龗神はどの色にも染まらない、あるいは白〜青系の龍神として視られることが多いようです。
白は「浄化と統合」、青は「癒しと高次の知恵」の象徴。
高龗神はまさにその波動を帯びた、龍神界の長的存在といえるでしょう。

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