やっぱりというか、何というか・・・・・。
「AIで仕事を失いました。」
AIが大幅に普及してからそんな言葉を、もう珍しく感じない時代になりました。
そうなる未来を予想してた人もいたのではないでしょうか。
AIは、私たちの暮らしを驚くほど便利にしました。
Webデザイン、イラスト制作、プログラミング、ライティング。
かつては”専門スキル“だった仕事も、AIが一瞬でこなせるようになり、
「スキルの価値」さえも一瞬で変わってしまうのが、今の現実です。
けれどそこにはもっと根深い問いがあります。
利益の為に失われていく人間的な仕事
私たちは効率化に取り憑かれています。
「もっと早く」「もっと安く」「もっと簡単に」
この言葉は、時に魔法のように聞こえるけれど、
裏側では多くのものを切り捨ててきたのです。
例えば、保育、介護、農業。
AIどころか、長年にわたって「低賃金のまま放置された仕事」です。
何故か?
「利益になりにくいから」です。
どれほど尊く、必要不可欠でも、
「儲からない仕事」は資本主義では正当に評価されない。
それが、今の社会の当たり前になってしまいました。
資本主義では「尊さ」ではなく「利益」が評価される
私たちが生きている社会は、資本主義社会です。
そこでは、「すごい人」が金を得るわけではありません。
「利益を生み出すのが上手い人」が金を得る社会です。
そして今は、利益=一人当たりの労働生産性で決まります。
保育・介護・農業は何故、生産性が低いのか?
保育士、介護士、農業従事者。
これらの仕事には、「人と向き合う手間」が必須です。
・保育士が一人で何人の子どもを見れるか?→限度がある
・介護士が一人で何人のお年寄りの世話を出来るか?→限度がある
・農家が一人でどれだけの田植えが出来るか?→限度がある
つまり、“人間的な手間がかかる”=効率化しづらい=利益が出にくいのです。
これは「やる価値がない」ということでは決してなく、
「資本主義のゲームルールに合っていない」というだけです。
ITやコンサルが儲かる理由
対照的に、コンサルやIT関連は、
・技術の発展
・自動化
・データの複製性
こういった要素により、「一人あたりの生産性」が限界を超えて増幅しています。
つまり、一度つくったサービスが世界中に届けられる。
これは農業や介護のような「現場ベース」では不可能です。
だからこそ彼らには”無限の利益可能性“がある。
AI時代にこそ問うべき「本当の価値」
しかし、AI活用にそろそろ限界がやってきたようです。
Webデザイナーやクリエイターが、AIによって職を失う。
これは「技術革新の犠牲者」として語られることが多いですが、
実は、もっと大きな問題がここに隠れています。
それは、
「便利さの果てに、私たちは何を失っているのか?」
という問いです。
便利になればなるほど、
「手間」「時間」「人間同士の繋がり」が削られ、
仕事は”商品“として切り捨てられる。
AIで失われた仕事も、低賃金で放置される介護や農業も、
根底は同じ構造にあります。
どちらも「効率化の外にある価値」を切り捨てた結果、
「報われない仕事」になってしまったのです。
ここが哲学的に面白い
・「AIで失業」は、資本主義社会の”加速する無常“を示している → 今”必要とされている“スキルも、技術進化で簡単に価値を失う
・「尊い仕事は報われない」は、資本主義社会の”構造的限界“を示している → どれほど必要でも、「利益にならない」なら評価されにくいまま
つまり、
「人間の尊厳と労働価値は、資本主義では守れない局面に入っている」
この現実に、どちらも鋭く切り込んでいます。
変化に翻弄される中で、守るべき価値を思い出す時
私は思います。
AI時代に生きる私たちが本当に問うべきなのは、
「どうやって稼ぐか」ではなく、「何を守るか」です。
・人が人を世話すること
・誰かの為に手間をかけること
・一緒に汗を流して生きること
それは、数字にも利益にもなりません。
でも人間としての誇りや安心は、そこにあります。
国の役割と、私たち一人ひとりの役割
保育、介護、農業のような仕事は、
市場に委ねず、国家が守るべきインフラです。
補助金や制度による支援は不可欠。
でも、同時に私たち一人ひとりが「何を大切にするか」を
真剣に考えることも、これからの時代には欠かせません。
共通する成功の本質
- AIで「土台」を作る → 人間は「深み・温度・判断」に集中
- 「手間がかかること」ではなく「人間にしかできないこと」で価値を生む
- “作業者”から”指揮者”や”企画者”への進化
結論。「失うことでしか気づけない価値」を見つめ直そう
資本主義、AI、効率化。
これらの波に飲まれた先で、私たちは気付くのです。
「本当に大切なものは、利益の外側にある」と。
AI時代を生きる私たちに必要なのは、
「便利さの果てに失われた価値」に気づき、
それを守り、次の世代に伝えていく覚悟です。
便利さに酔いしれる前に、問いかけてみてください。
──私は、何を守りたいのか?
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